結論:公開日ではなく、公開後の作業まで計画に入れる

ホームページのリニューアルは、次の7つの段階で進めると整理しやすくなります。①目的の整理 → ②現状の確認 → ③要件をまとめてRFPにする → ④相見積もりと依頼先の決定 → ⑤制作 → ⑥公開前チェック → ⑦公開後の確認です。

ひとり担当でつまずきやすいのは、⑤の制作を「始まり」、公開日を「終わり」と考えてしまうことです。実際には、①〜④の準備で見積もりの比べやすさが決まり、⑦の作業(URLが変わったページの転送設定、Search Consoleでの確認)で、これまで検索から来ていた人を新しいページへ案内できるかが決まります。

この記事は当サイトが提案する進め方です。Googleの案内や発注に関わる制度に触れる部分は、公式ページを確認した内容として区別して書いています。

段階主にやること社内に残る判断
①目的の整理なぜ今変えるのかを一文にする目的の承認
②現状の確認ページ一覧・数字・管理情報をそろえる残すページ・やめるページ
③要件・RFP作る範囲と条件を文書にする予算の上限・期限
④相見積もり同じ条件で複数社に依頼する依頼先の決定
⑤制作原稿・写真の用意、確認と修正デザイン・原稿の承認
⑥公開前チェック表示・フォーム・転送設定の確認公開の判断
⑦公開後301リダイレクトとSearch Consoleの確認改善の優先順位

① 目的を一文にする:なぜ今、作り直すのか

最初に「今回のリニューアルで何が変わればよいか」を一文で書きます。例えば「スマートフォンから施工事例と問い合わせ先にたどり着きやすくする」「採用ページを独立させ、応募の受け付けをサイトでできるようにする」などです。「古くなったから」「見た目を良くしたい」だけでは、制作会社によって提案の方向がばらばらになり、比較が難しくなります。

目的が複数あるときは、優先順位をつけます。全部を同じ重さで頼むと、予算と期間が膨らみやすいからです。上司や社長と話すときは、目的と一緒に「今回は扱わないこと」も確認しておくと、後から範囲が広がるのを防げます。

目的の整理に迷う場合は、Web担当者になったら最初にやることの手順で、担当範囲と判断する人から確認するのが近道です。

② 現状を確認する:ページ一覧・数字・管理情報

作り直す前に、今のサイトに何があるかを一覧にします。表計算ソフトに、ページ名・URL・最終更新日・残すか(残す/統合する/やめる)を書いていきます。この一覧は、⑦でURLの転送先を決めるときにもそのまま使えます。

あわせて、数字と管理情報もそろえます。

  • アクセスの多いページ、検索から入ってくるページ(GA4やSearch Consoleが設定されていれば確認)
  • 問い合わせフォームの送信先と、届いた問い合わせの件数の記録
  • ドメインの契約者と更新時期、サーバーの契約者、CMS(更新に使う管理画面)の種類
  • 今の制作会社・保守会社との契約内容(解約の条件、データの受け渡し)

ドメインやサーバーの契約者が退職者や前の制作会社のままになっていることがあります。リニューアルの途中で判明すると日程が止まるため、この段階で確認しておきます。どのページから見直すか迷うときは、サイトの改善点がわからないときの見つけ方も参考にしてください。

IDやパスワードは、ページ一覧や共有資料に書き込まず、社内で決められた方法で管理します。

③ 要件をまとめてRFPにする

目的と現状がそろったら、制作会社に渡す依頼内容を文書にします。これをRFP(提案依頼書)と呼びます。書く項目は、目的、対象の読者、作るページの範囲、必要な機能(フォーム、お知らせ更新、採用応募など)、原稿・写真を誰が用意するか、予算の考え方、希望の公開時期、公開後の保守をどうするかです。

項目の詳しい書き方は制作会社に依頼する前に。RFPにまとめたい項目にまとめています。ここで大事なのは、決まっていないことを「未定」と書いて残すことです。未定の項目は、制作会社に提案してもらう部分として扱えます。

予算は「上限」なのか「目安」なのかを区別して書きます。金額を書かずに依頼すると、各社の提案の規模がそろわず比べにくくなります。見積もりの金額が何で変わるかはホームページリニューアルの見積もり、何で金額が変わる?で整理しています。

④ 相見積もりを取り、依頼先を決める

同じRFPを複数の依頼先に渡し、見積もりと提案を受け取ります。比べるときは、合計金額より先に「何が含まれているか」をそろえます。原稿作成、写真撮影、旧サイトからの記事の移し替え、URLの転送設定、公開後の保守が、見積もりに入っているかどうかで金額は大きく変わります。比較表の作り方は相見積もりの取り方を参照してください。

依頼先を決めたら、作業範囲・金額・支払期日・納品物を書面かメールで残します。発注先が従業員を使っていない個人や一人法人(いわゆるフリーランス)の場合、フリーランス・事業者間取引適正化等法(2024年11月1日施行)により、業務の内容、報酬の額、支払期日などの取引条件を明示する必要があると公正取引委員会は案内しています。メールなど電子的な方法での明示も認められています。

また、旧下請法は2026年1月1日から取適法(中小受託取引適正化法)になりました。公正取引委員会のQ&Aでは、自社の宣伝用ホームページの制作委託は原則として対象外とされる一方、有償で提供するコンテンツの制作委託など対象になる場合もあると説明されています。自社の発注が当てはまるかは、取適法のよくある質問 ↗や社内の法務担当で確認してください。

⑤ 制作中は、原稿・写真・確認の回数を管理する

制作が始まると、担当者の仕事は「素材を出すこと」と「確認すること」が中心になります。制作会社から求められる原稿・写真・ロゴなどの素材には、提出期限が設定されます。素材が遅れると、そのまま公開日が後ろにずれます。社内の誰に書いてもらうか、誰が確認するかを、制作開始前に決めておきます。

デザインやページの確認では、修正の回数と範囲が契約で決まっていることが多くあります。社内の意見を一人ずつ別々に伝えると、修正の回数を早く使い切ってしまいます。確認者の意見を担当者がまとめ、一度に伝える流れにしておきましょう。

制作中に「やはりこのページも追加したい」という話が出たら、追加の見積もりが必要かをその場で確認します。範囲の追加を口頭で頼み、最後に費用で揉めるのはよくある失敗の一つです。

⑥ 公開前チェック:表示・フォーム・転送設定

公開前には、制作会社の確認とは別に、社内の目でも確認します。次の項目を確認リストとして使えます。

  • パソコンとスマートフォンの両方で、主なページが崩れずに表示される
  • 会社名・住所・電話番号・営業時間・料金などの基本情報が正しい
  • 問い合わせフォームから実際に送信し、届く先・自動返信の文面を確認した
  • 古いページのURLから新しいページへ転送される一覧ができている(②の一覧に転送先を追記)
  • GA4などのアクセス解析のタグが新しいページにも入っている
  • 公開前の確認用ページが検索エンジンに表示されない設定のまま、本番に持ち込まれていない
  • 公開日時と、公開作業の担当者・連絡先が決まっている

公開を判断する人(上司・社長)に、このリストの結果を見せてから公開すると、何を確認したかが社内で共有できます。

⑦ 公開後:301リダイレクトとSearch Consoleを確認する

URLが変わったページは、古いURLから新しいURLへ転送する設定が必要です。Googleの検索セントラルは、ページが恒久的に移転した場合はサーバー側で301(または308)のリダイレクトを設定するよう案内しています。転送を何段も経由させず、最終的な転送先へ直接向けることも推奨されています。

Googleの「サイト移転」のドキュメントでは、次の流れが案内されています。

  1. 旧URLと新URLの対応表(URLマッピング)を作る
  2. 旧URLから新URLへ、サーバー側の恒久的リダイレクトを設定する
  3. 新しいURLを含むサイトマップをSearch Consoleで送信する
  4. ドメインやサブドメインを変える場合は、Search Consoleのアドレス変更ツールを使う

同ドキュメントでは、リダイレクトは少なくとも1年程度は維持すること、移転の反映には時間がかかり、その間は検索での表示が変動する場合があることも説明されています。公開して数週間は、Search Consoleで「見つからないページ(404)」が増えていないか、問い合わせフォームが動いているかを定期的に確認しましょう。Search Consoleで最初に見る数字はGA4とSearch Console、Web担当が最初に見る数字で整理しています。

よくある失敗と、防ぐための一手

リニューアルでよく聞く失敗は、技術よりも準備と段取りに原因があります。当サイトの整理として、主なものと防ぎ方を並べます。

よくある失敗起きること防ぐための一手
目的を決めずに見た目から入る提案がばらつき、比べられない①で目的を一文にし、優先順位をつける
ページ一覧を作らない必要なページが消える・転送漏れ②で一覧を作り、⑦まで使い続ける
見積もりの範囲をそろえない安く見えた会社に後から追加費用同じRFPで依頼し、含まれる作業を表で比べる
原稿・写真の担当が未定素材待ちで公開が延びる制作前に書く人・確認する人を決める
社内の意見をばらばらに伝える修正回数を使い切る担当者がまとめて一度に伝える
転送設定を忘れる検索や外部サイトから来た人が404に着く対応表を作り、公開直後に旧URLを開いて確認
ドメイン・サーバーの管理者が不明公開直前に作業が止まる②の段階で契約者と更新時期を確認する

どれも、早い段階で一覧や表を作っておけば防ぎやすいものです。全部を一人で抱えず、判断が必要なところは上司に早めに相談しましょう。