結論:同じ前提を渡し、同じ表で比べる

相見積もりは、複数の会社から見積もりを取って比べることです。ただ、各社にばらばらの説明をすると、金額の違いが会社の違いなのか、前提の違いなのかがわからなくなります。

うまく比べるためのポイントは3つです。全社に同じ依頼内容を文書で渡すこと、見積もりを受け取ったら同じ比較表に並べ直すこと、選ばなかった会社にも早めに丁寧に連絡すること。この記事では、依頼文の例と比較表のテンプレートを使って、その手順を説明します。

ホームページの制作費は、ページ数や機能、原稿や写真を誰が用意するかなどで大きく変わります。当サイトでは相場の金額は掲載していません。金額が変わる要因はリニューアルの見積もり、何で金額が変わる?で説明しています。

何社に頼むか:2〜3社から始める

依頼する会社の数に決まりはありませんが、当サイトでは2〜3社から始めることを提案します。1社だけだと比べる相手がなく、金額や提案が妥当か判断しにくくなります。一方で5社、6社と増やすと、打ち合わせと質問への回答だけで担当者の時間が足りなくなります。

候補を絞るときは、Web制作会社の選び方で紹介した7項目のうち、自社が最も重視する項目で先にふるいにかけます。「社内で更新できること」が最優先なら、CMSの扱いや更新方法の説明が合わない会社には、見積もりを頼む前に候補から外してもかまいません。

社内で「最低3社の見積もりが必要」といった決まりがある場合は、それに合わせます。上司や経理担当に、事前に確認しておきましょう。

依頼の前に、渡す前提を1つの文書にまとめる

各社に同じ前提を渡すには、依頼内容を文書にしておくのが確実です。口頭だけで説明すると、会社ごとに伝える内容が少しずつ変わります。少なくとも次の項目をまとめます。

  • 目的(例:問い合わせを受けやすくしたい、採用ページを充実させたい)
  • 対象範囲(作り直すページ、新しく作るページ、おおよそのページ数)
  • 社内で用意するもの・依頼したいもの(原稿、写真、ロゴ、翻訳など)
  • 必要な機能(問い合わせフォーム、お知らせの更新、予約など)
  • 公開したい時期と、社内確認にかかる時間
  • 予算の目安(伝える場合)
  • 公開後の保守を依頼したいか
  • 見積もりの提出期限と、提出してほしい形式

項目の詳しい書き方は制作会社に依頼する前に。RFPにまとめたい項目を参考にしてください。決まっていない項目は「未定」と書いて渡すほうが、勝手に前提を置かれるより比べやすくなります。

この前提づくりに、GROW Agent プロデューサーのRFPや概算見積書を「各社に同じ前提を渡す材料」として使う方法もあります。公式案内では、対話の内容から資料を作り、作成した資料は他社への提出を含めて用途の制限がないとされています(利用規約 第3条)。ただし同じ条文で、資料の金額は概算であり正式な見積書ではないこと、内容の正確性は利用者自身で確認することが明記されています。正式な金額は各社から受け取り、資料の内容は自社の事実と照合してから渡しましょう。

依頼文の例(架空の会社です)

次の例は説明のために作った架空の文面です。会社名・数字・日付は自社のものに置き換えてください。

件名:ホームページ改修のお見積もりのお願い(株式会社サンプル工業)

株式会社〇〇 ご担当者様

株式会社サンプル工業(架空)の山田と申します。当社ホームページの改修について、お見積もりをお願いしたくご連絡しました。

目的は、製品ページからのお問い合わせを受けやすくすることです。対象範囲・必要な機能・公開時期などは、添付の依頼資料にまとめています。

今回は複数社にご相談しています。お手数ですが、作業項目ごとの内訳がわかる形で、〇月〇日までにお見積もりをいただけますでしょうか。保守を別契約とする場合は、その費用も分けてご記載ください。

資料に不明な点があれば、メールでご質問ください。いただいたご質問と回答は、公平のため他社様にも同じ内容をお伝えすることがあります。

最後の一文は、質問への回答で前提がずれるのを防ぐためのものです。ある会社への回答で条件が変わったら、その内容を他社にも伝えて前提をそろえます。

比較表のテンプレート

見積もりが届いたら、会社ごとの書式のまま比べず、次の表に書き写します。各社の見積書で表現が違っても、同じ行にそろえることで抜けや重なりが見えてきます。

比べる項目A社B社C社
合計金額(税込・税抜を統一)
企画・設計(サイトマップ・構成)
デザイン(ページ数・修正回数)
実装・CMS構築
原稿作成・撮影
問い合わせフォームなどの機能
スマートフォン対応
公開作業・データの移行
保守(範囲・月額か作業ごとか)
見積もりに含まれない作業
追加費用が出る条件
納期・スケジュール
著作権・ドメインやサーバーの名義
担当体制・窓口
見積もりの有効期限

表に書き写すときは、見積書に書かれていないことを推測で埋めないようにします。空欄が残ったら、その会社への質問として送ります。

合計金額は、税込か税抜か、保守費用を含むかどうかを必ずそろえます。初期費用は安くても月額の保守が高い、という組み合わせもあるため、1年分・3年分など同じ期間で合計してみると比べやすくなります。

金額以外で差が出やすいところ

比較表を埋めると、金額の差がどこから来ているかが見えてきます。差が出やすいのは次のような点です。

  • 修正回数:デザインの修正が何回まで含まれるか
  • 原稿と写真:制作会社が用意するのか、自社で用意するのか
  • 既存ページの移行:古いページの内容を新しいサイトに移す作業が含まれるか
  • 保守:公開後の更新やバックアップが含まれるか、別契約か
  • 社内確認の待ち時間:確認が遅れた場合に日程や費用がどうなるか

同じ範囲にそろえたうえで、それでも金額が違うなら、その理由を各社に聞いてみましょう。説明の内容そのものが、進め方や考え方を知る材料になります。逆に、範囲がそろっていない状態で一番安い会社を選ぶと、後から追加費用が発生することがあります。

選ばなかった会社への断り方

見積もりを出してもらった会社には、選ばなかった場合も連絡します。連絡しないまま放置すると、相手は予定を空けて待つことになります。決まったら早めに、短く丁寧に伝えるのが基本です。

断りの理由は、詳しく書く必要はありません。「社内で検討した結果」で十分です。差し支えなければ、どの点で迷ったかを一言添えると、相手にとっても参考になります。

件名:お見積もりの件(株式会社サンプル工業)

株式会社〇〇 ご担当者様

先日はお見積もりとご提案をいただき、ありがとうございました。社内で検討した結果、今回は別の会社様にお願いすることになりました。

お忙しいところ時間を割いていただいたことに、あらためてお礼申し上げます。また機会がありましたら、ご相談させてください。

上の文面も架空の例です。今後も付き合いを続けたい会社なら、その旨を一言加えてもよいでしょう。

決めたあとに残しておくもの

発注先を決めたら、比較表と選んだ理由をまとめて保存しておきます。「保守を含めた3年間の合計が予算内で、社内で更新できる範囲が最も広かった」のように、優先した項目と結果を書きます。

この記録は、上司への報告に使えるだけでなく、担当者が替わったときや、数年後に作り直すときの出発点にもなります。正式な契約の前には、見積もりに含まれる範囲と含まれない範囲を、契約書や発注書の内容と照らし合わせて確認しましょう。保守契約の確認ポイントは保守・運用契約で確認したいことにまとめています。