結論:比べる項目を先に決めてから、打ち合わせに臨む
制作会社選びで迷う原因の多くは、各社の説明をそれぞれの言葉で聞いてしまい、横に並べられないことです。最初に「何を比べるか」を決め、どの会社にも同じ質問をすると、違いが見えやすくなります。
比べる項目は、得意な業種・規模、実績の見方、体制、更新方法・CMS、公開後の保守、契約・著作権の扱い、コミュニケーションの7つで足ります。この記事では、それぞれで何を確認するかと、初回の打ち合わせでそのまま使える質問を紹介します。
この記事は当サイト編集部による整理です。なお、当サイトで紹介しているGROW Agent プロデューサーの運営会社(GrowGroup株式会社)もWeb制作会社です。この記事では特定の制作会社を推薦しません。
比べる7項目と、それぞれで見ること
次の表を、候補の会社ごとに埋めていきます。わからない欄は空けたままにして、打ち合わせで聞く項目にします。
| 項目 | 確認すること | 聞き方の例 |
|---|---|---|
| 得意な業種・規模 | 自社に近い業種・会社規模・ページ数の案件があるか | 当社と近い規模の案件はありますか |
| 実績の見方 | その案件で何を担当したか(企画・デザイン・実装・原稿・撮影) | この実績では、どこまでを担当されましたか |
| 体制 | 窓口・ディレクター・デザイナー・エンジニアは誰か、外部委託はあるか | 実際に作業する方はどなたですか |
| 更新方法・CMS | 公開後に社内で更新できる範囲、使うCMS | お知らせや採用情報は社内で更新できますか |
| 公開後の保守 | 保守の範囲・費用・連絡方法 | 公開後の保守はどの範囲で、別契約ですか |
| 契約・著作権 | 納品物の著作権、ドメイン・サーバーの名義 | 契約後、デザインや原稿の権利はどうなりますか |
| コミュニケーション | 連絡手段、返信の目安、打ち合わせの頻度 | 普段の連絡はメールですか、チャットですか |
項目ごとに優先順位を付けておくと、全部で満点の会社がない場合にも決めやすくなります。例えば「社内で更新できること」が最優先なら、更新方法・CMSの欄を重く見ます。
実績は、件数より「近さ」と「担当範囲」で見る
制作会社のサイトには、制作実績の一覧が載っていることが多いです。見るときは、件数の多さよりも、自社に近い案件があるかを確認します。業種が同じでも、会社の規模やページ数、問い合わせを増やしたいのか採用を強化したいのかで、必要な仕事は変わります。
もう一つ大切なのが担当範囲です。実績に載っているサイトでも、制作会社はデザインだけを担当し、原稿や撮影は発注側が用意した、ということがあります。自社で原稿を書く余裕がないなら、原稿作成や取材まで担当した実績があるかを聞きましょう。
- 自社と近い業種・規模の実績があるか
- その案件で、企画・デザイン・実装・原稿・撮影のどこを担当したか
- 公開後も保守や更新を続けている案件があるか
- 実績のサイトが今も公開されているか(スマートフォンでも見てみる)
体制と更新方法は、公開後の暮らしに直結する
打ち合わせでは営業担当や代表者が話すことが多いですが、実際に作業する人が別にいる場合もあります。誰が窓口で、デザインと実装は社内の人か外部への委託か、担当者が不在のときは誰が対応するかを確認します。外部委託そのものが悪いわけではありません。連絡の経路と、責任を持つ窓口がはっきりしているかを見ます。
更新方法は、兼任の担当者にとって特に大切です。お知らせ・採用情報・事例などを社内で更新したいなら、どのページを、どんな画面で更新できるかを具体的に聞きます。CMS(記事やページを管理画面から更新できる仕組み)の名前、更新マニュアルの有無、操作説明の機会があるかもあわせて確認しましょう。
CMSを使う場合、本体やプラグインの更新を誰が行うかも決めておきます。IPAの「安全なウェブサイトの運用管理に向けての20ヶ条」では、サイトを構成するCMSなどのソフトウェアに脆弱性が見つかった場合はバージョンアップ等の対策が必要と案内されています。この作業を保守契約に含めるかどうかは、次の項目で確認します。
保守と契約・著作権は、最初の打ち合わせで話題に出す
公開後の保守は、制作費とは別の契約になることがよくあります。保守の範囲(サーバー・ドメインの管理、CMSの更新、バックアップ、障害時の対応、軽微な修正)と、月額か作業ごとかを初回で聞いておくと、見積もりを比べるときに抜けが減ります。詳しくは保守・運用契約で確認したいことにまとめています。
契約では、納品物の著作権がどうなるかを確認します。デザインや写真、原稿、プログラムの権利が制作会社に残るのか、発注側に移るのかで、将来ほかの会社に保守を頼むときや、サイトを作り直すときの自由度が変わります。素材の写真やフォントには第三者のライセンスが含まれることもあるため、何が自社のものになり、何が利用許諾なのかを分けて聞きましょう。
ドメインとサーバーの名義もあわせて確認します。制作会社の名義で契約されていると、解約や乗り換えのときに手続きが必要になります。契約の判断に不安があれば、社内の法務担当や専門家に相談してください。この記事は契約や法律上の判断を案内するものではありません。
コミュニケーションの相性は、初回の打ち合わせで見える
進め方の相性は、実績や料金表からは読み取りにくい項目です。初回の打ち合わせで、こちらの話をどこまで聞いてくれるか、専門用語を説明してくれるか、できないことをできないと言ってくれるかを見ます。
確認したいのは次のような点です。返信までの目安、打ち合わせの頻度と方法(対面・オンライン)、確認依頼の出し方(メール・チャット・共有の管理ツール)、修正の回数や範囲の決め方。社内の承認に時間がかかる会社なら、そのことを最初に伝え、日程に余裕を持たせられるかも聞いておきましょう。
打ち合わせ後に、聞いた内容を簡単なメモにして送ると、認識のずれに早く気づけます。返ってきた内容も比較の材料になります。
初回の打ち合わせで聞く質問リスト
そのまま印刷して使える形にしました。全部を一度に聞く必要はありません。優先度の高い項目に印を付けて持っていきます。
- 当社と近い業種・規模の実績はありますか。その案件ではどこまで担当しましたか
- 窓口の方と、実際にデザイン・実装を担当する方はどなたですか。外部に委託する作業はありますか
- 担当の方が不在のとき、誰が対応しますか
- 公開後、社内で更新できるのはどのページですか。CMSは何を使いますか。操作説明はありますか
- CMS本体やプラグインの更新は、誰がどの頻度で行いますか
- 公開後の保守は別契約ですか。範囲と費用の決まり方を教えてください
- バックアップはどこに、どの頻度で取りますか。障害時の連絡方法は何ですか
- 納品物(デザイン・原稿・写真・プログラム)の著作権はどうなりますか
- ドメインとサーバーは、どちらの名義で契約しますか
- 解約や他社への引き継ぎが必要になった場合、何を渡してもらえますか
- 見積もりに含まれない作業は何ですか。追加費用が出るのはどんなときですか
- 普段の連絡手段と、返信までの目安を教えてください
打ち合わせのあとにやること
打ち合わせが終わったら、その日のうちに比較表の欄を埋めます。記憶に頼らず、聞いた内容と自分の印象を分けて書くと、上司に説明するときにも使えます。「担当範囲:原稿は発注側」は聞いた事実、「説明がわかりやすかった」は印象です。
見積もりを依頼する段階に進むなら、各社に同じ条件を渡すことが大切です。手順と比較表のテンプレートは相見積もりの取り方に、依頼内容のまとめ方はRFPにまとめたい項目にあります。
最終的に1社に決めるときは、価格だけでなく、優先順位を付けた項目で比べた結果を残しておきましょう。公開後に担当者が替わったときにも、なぜこの会社を選んだかを引き継げます。