結論:「作る」は任せ、「確認する」「決める」は人に残す

Webの仕事をAIに頼むとき、最初にやりたいのは仕事を小さく区切ることです。一つの仕事は、おおまかに「作る」「確認する」「決める」の3つに分けられます。文章の下書き、見出し案、比較表の枠といった「作る」作業は、AIに頼みやすい部分です。

一方で、内容が自社の事実と合っているかを「確認する」作業と、何を公開するか、いくらで発注するかを「決める」作業は、人に残します。会社情報や約束できる内容、発注の範囲は、AIが知り得ないか、知っていても責任を持てない部分だからです。

この記事は、当サイト編集部による仕事の分け方の提案です。特定のAIサービスの性能や時短効果を測定した結果ではありません。

まず、今回終わらせたい仕事を一つ決める

「サイトを良くする」では、作業の終わりが決まりません。「トップページの困りごとを一枚にまとめる」「お知らせ記事の下書きを作る」「依頼書の見出しをそろえる」のように、次に進めたい仕事を一つに区切ります。

区切ったら、その仕事がすでにある資料で済まないかも確かめます。使える依頼書や過去の提案書があるなら、必要な箇所を手で直して終えたほうが早いこともあります。AIを使う場合も、入力の準備や出力の確認にかかる時間を含めて比べましょう。生成が速くても、直す工程が増えれば全体の手間は減りません。

比べるときは、準備・生成・確認・修正・共有までを一つの流れで見ます。手作業・汎用AI・専用ツールの比べ方はAIなし・汎用AI・特化AI。同じWebの仕事で比べる進め方で説明しています。

任せられる仕事・任せない仕事の一覧

Web担当の仕事をいくつか取り上げ、AIに頼みやすい部分と人に残す部分を分けました。当サイトの整理であり、すべての会社に当てはまる決まりではありません。

仕事AIに頼みやすい部分(作る)人に残す部分(確認する・決める)
お知らせ・ブログ記事構成案、下書き、言い回しの候補日付・数字・商品名の確認、公開の判断
既存ページの見直し読みにくい箇所の指摘、書き換え案自社の事実と合っているか、変えてよい表現か
見出し・タイトル複数の案出し、文字数の調整どれを使うか、誇大な表現になっていないか
アンケート・インタビュー質問項目の案、回答の分類何を聞くか、個人情報の扱い、結論の解釈
制作会社への依頼準備RFPの項目の枠、質問リストの案予算・日程・範囲の決定、社内承認
比較・検討の資料比較表の枠、観点の洗い出し各社の事実の確認、どれを選ぶか
アクセス解析の数字数字の読み方の説明、見る順番の案実際の数字の確認、原因の判断

「任せない」としたのは、AIが苦手だからではなく、責任を持つ人が必要な部分です。例えば、AIが「この施策で問い合わせが増える」と書いても、それは仮説です。実際に効果があるかは、公開後の数字で確かめます。

指示文の基本形:目的・前提・形・確認

指示文(プロンプト)は、うまい言い回しを探すより、次の4つをそろえることを意識します。

  • 目的:何のための文章・資料か、誰が読むか
  • 前提:会社や商品の事実、使ってよい情報、守る条件
  • 形:文字数、箇条書きか表か、項目
  • 確認:わからないことは推測せず質問する、事実と推測を分けて書く

最後の「確認」の一文を入れておくと、AIが前提の抜けを推測で埋めるのを減らせます。出力を受け取ったら、事実・数字・固有名詞・約束にあたる表現を中心に、自分で確かめましょう。

指示文に入れる情報は、公開済みの情報か、社内のルールで入力してよいとされた情報に限ります。顧客の個人情報や未公開の数字を入れる前に、AIに社内情報を入れる前にを確認してください。

そのまま使える指示文の例(1〜3)

次の例は、角かっこの部分を自社の内容に置き換えて使います。

例1:お知らせ記事の下書き

あなたは中小企業のWeb担当者の補助役です。当社サイトに載せるお知らせ記事の下書きを作ってください。

目的:[夏季休業のお知らせ]を、取引先と一般のお客様に伝える。

前提:休業期間は[8月○日〜○日]。問い合わせフォームは休業中も受け付け、返信は休業明けから順次行う。これ以外の事実は追加しないでください。

形:見出し1つ、本文300字以内、です・ます調。

わからない点があれば、推測で書かずに質問してください。

例2:既存ページの読みにくい箇所を指摘してもらう

次の文章は当社サイトの[サービス紹介]ページの本文です。初めて訪れた人の立場で、読みにくい箇所・専門用語で説明が足りない箇所を指摘してください。

指摘は「該当箇所」「理由」「書き換え案」の3列の表にしてください。事実を変える書き換えはせず、言い回しの変更にとどめてください。

(ここに本文を貼る)

例3:見出し案を複数出してもらう

次の記事の見出し案を5つ出してください。読者は[小さな会社の総務担当者]です。

条件:32文字以内。「必ず」「最強」など言い切りや誇張の表現は使わない。記事の内容にないことは書かない。

それぞれの案に、どんな読者に向くかを一言添えてください。

(ここに記事の要約を貼る)

そのまま使える指示文の例(4〜6)

例4:制作会社への質問リストを作る

当社はホームページのリニューアルを検討しており、制作会社との初回打ち合わせを控えています。

前提:社内に詳しい担当者はおらず、公開後のお知らせ更新は社内で行いたい。予算と公開時期は未定。

打ち合わせで確認すべき質問を、「実績」「体制」「更新方法」「保守」「契約・権利」の5つに分けて、各3問ずつ挙げてください。

専門用語を使う場合は、括弧で短い説明を付けてください。

例5:アンケートの回答を分類する

次はお客様アンケートの自由記述の回答です(氏名などの個人情報は削除済み)。

内容ごとにグループに分け、グループ名・件数・代表的な回答の要約を表にしてください。

回答にない理由や背景を推測して書かないでください。分類に迷った回答は「その他」にまとめ、理由を添えてください。

(ここに回答を貼る)

例6:上司に出す比較メモの枠を作る

上司に提出する、[ホームページ改修の依頼先]の比較メモの枠を作ってください。

比べる候補は[A社・B社・社内で対応]の3つです。各候補の事実は私が後で書き込むので、空欄のままにしてください。

比較の観点、メモの見出し構成、上司に決めてほしい事項の書き方の例を示してください。

例5のように、個人情報を削除してから入力するのが基本です。例6のように、事実の欄を空けて枠だけを作ってもらう頼み方は、AIが事実を補ってしまうのを防ぐのにも役立ちます。

出力を受け取ったら確認すること

AIの出力は、たたき台として受け取ります。公開や提出の前に、少なくとも次の点を確認します。

  • 会社名・商品名・日付・金額・連絡先が正しいか
  • 指示文で渡していない事実が追加されていないか
  • 数字は出典があるか、推定ではないか
  • 「必ず」「No.1」など、根拠を示せない言い切りがないか
  • 社内で約束できない内容(納期・保証など)が書かれていないか

確認で見つかった誤りは、指示文の「前提」に足りなかった情報のヒントにもなります。次に同じ仕事を頼むときに、指示文を少しずつ直していくと、確認の手間が減っていきます。

提案書や見積もりのような社外に出す資料は、より丁寧に確認します。詳しくはAIが作った提案書を、そのまま提出する前にをご覧ください。

「決める」を上司と分担する

AIに作ってもらった資料を使って、最後に決めるのは人です。兼任の担当者が一人で決めきれない事項は、上司に「決めてほしいこと」として渡します。

例えば、依頼先の比較メモなら「どの候補を選ぶか」「予算の上限」「いつまでに公開するか」が上司に決めてもらう事項です。担当者は、比較した観点と、確認できた事実・未確認の事項を整理して渡します。AIを使ったことは伝え、どこを自分で確認したかも書いておくと、上司も判断しやすくなります。

仕事を「作る・確認する・決める」に分ける考え方は、AIを使わない場合にも役立ちます。まずは今週の仕事を一つ選んで、3つに分けてみるところから始めましょう。