結論:3人に30分、「過去の出来事」を聞く

顧客インタビューは、お客様一人ひとりに時間をとって、選んだ理由や迷った経緯を聞く方法です。アンケートでは拾いにくい「なぜ」を知るのに向いています。

初めてなら、既存のお客様3人に30分ずつ話を聞くところから始められます。質問は「今後どうしたいですか」よりも「そのとき、何をしましたか」のように、実際にあった出来事を聞くのがコツです。人は未来の予定や好みを聞かれると想像で答えやすく、過去の行動のほうが具体的に話せるためです。これは当サイトの提案する進め方です。

この記事では、依頼から記録のまとめまでを順番に説明します。特定の会社の事例や結果ではなく、一般的な手順の整理です。

1. 聞く目的を一文にする

準備で最初にやるのは、何を知りたいのかを一文で書くことです。目的が広すぎると質問が散らばり、終わった後に何もまとまりません。

  • 良い例:「ホームページを見て問い合わせたお客様が、決める前にどこで迷ったかを知りたい」
  • 広すぎる例:「お客様の本音を知りたい」

目的が決まると、誰に聞くかも決まります。上の例なら「この1年以内に、サイト経由で問い合わせて契約したお客様」が候補になります。可能なら、問い合わせたが契約しなかった方にも話を聞けると、別の視点が得られます。

2. 誰に頼むかを営業担当と決める

候補のお客様は、普段やり取りしている営業や窓口の担当者と一緒に選びます。関係を損なわないように、依頼してよい相手か、時期が悪くないか(繁忙期、トラブル対応中など)を確認しておきます。

候補を選ぶときの目安です。

  • 目的に合う経験をした人か(例:最近サイトから問い合わせた)
  • 話を聞いても負担にならない関係か
  • 業種や規模が偏りすぎていないか

依頼は、担当者から一言添えてもらうと受けてもらいやすくなります。断られても問題ない頼み方にしておくことが大切です。

3. 依頼文に書くこと

依頼文には、相手が判断に必要な情報をすべて入れます。当サイトが提案する項目は次のとおりです。

  • 何のために話を聞きたいか(例:ホームページの見直しの参考にするため)
  • 所要時間と方法(例:30分程度、オンライン会議か電話)
  • 候補日(3つほど)
  • 録音・録画をしたいか、その場合の扱い
  • 話してもらった内容をどう使うか(社内の検討資料に使う、社外に名前は出さない、など)
  • 断っても今後の取引に影響しないこと

例文:「ホームページの見直しにあたり、実際にご利用いただいている方のお話を参考にしたいと考えています。30分ほど、当社を知ったきっかけや、ご検討中に迷われた点をお聞かせいただけないでしょうか。お名前を社外に出すことはありません。ご都合が合わない場合は、どうぞお気軽にお断りください。」

4. 当日の進め方と質問例

30分の場合の流れの一例です。

  1. 最初の3分:お礼、目的、録音の確認、答えにくい質問は飛ばしてよいこと
  2. 次の20分:本題の質問
  3. 最後の5分:言い残したことがないかの確認、お礼

本題の質問例です。目的に合わせて5〜7問に絞ります。

  • 当社を知ったのは、どんなきっかけでしたか
  • そのとき、どんなことに困っていましたか
  • 他にどんな方法や会社を調べましたか
  • 決める前に、確認したかったことは何でしたか
  • ホームページで探したけれど見つからなかった情報はありましたか
  • 最終的に決めた理由を一つ挙げるとしたら何ですか
  • 同じ立場の人に紹介するとしたら、どう説明しますか

「〇〇はわかりやすかったですか」のように、答えを誘導する聞き方は避けます。「どうでしたか」「そのとき何をしましたか」と開いた形で聞き、相手の言葉が出たら「それはどういうことですか」と一段掘り下げます。

5. 記録のとり方とまとめ方

インタビュー中は、聞き手と記録係を分けられると理想的です。一人で行う場合は、了承を得て録音し、話を聞くことに集中します。

記録は、次の列を持つ表にまとめると後で比べやすくなります。

列書く内容
日付・相手社内で管理するための識別(社外に出す資料では伏せる)
本人の言葉印象的だった発言をそのまま短く
出来事何をしたか(例:比較サイトで3社を見た)
聞き手の解釈自分がどう受け取ったか
確認したいこと次に別の方法で確かめたい点

本人の言葉と自分の解釈は、必ず列を分けます。3人分がそろったら、共通して出た言葉や出来事に印をつけ、「3人中2人が料金の目安を探していた」のように、人数とあわせてメモにまとめます。少人数の結果なので、全体の傾向として言い切らない書き方にします。

個人情報と録音の扱い

インタビューでは、相手の名前や会社名、話の内容を記録します。個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)では、個人情報を扱うときは利用目的をできる限り具体的に特定し、取得の際には本人に通知するか公表すること、本人から書面で直接受け取る場合はあらかじめ利用目的を明示することが求められています。

また、ガイドラインでは個人データの漏えいなどを防ぐための安全管理措置や、本人の同意なく第三者に提供しないことの原則が説明されています。録音データや記録の表は、社内で決められた場所に保存し、閲覧できる人を限定しましょう。

当サイトの提案として、依頼文に書いた「使い道」の範囲を超えて使わないこと、社外向けの資料に引用するときは個人や会社が特定されない形にすることを決めておくと安心です。判断に迷う場合は、社内の担当部署やガイドライン本文で確認してください。

謝礼を用意するかどうかは会社の方針によります。用意する場合も、ルールは社内で確認してから決めてください。

聞き方で気をつけること

インタビューでは、聞き手の言い方ひとつで答えが変わることがあります。当サイトが提案する、気をつけたい点です。

  • 自社の説明を始めない:相手の誤解に気づいても、その場で訂正せず、なぜそう思ったのかを聞きます。誤解そのものが改善の材料になります
  • 一度に二つ聞かない:「料金と納期はどうでしたか」ではなく、一つずつ聞きます
  • 沈黙を急いで埋めない:考えている間は少し待つと、言葉にしにくかったことが出てくる場合があります
  • 褒め言葉で終わらせない:「良かったです」と言われたら、「どの点がそう感じられましたか」と具体的な場面を聞きます

聞き終えたら、その日のうちに記録を見直し、覚えているうちに補足を書き足しておきます。時間がたつと、相手の言葉と自分の解釈の区別がつきにくくなるためです。

聞いた内容を次の仕事につなげる

インタビューの記録は、そのまま次の仕事の材料になります。

  • サイトに答えがなかった質問 → ページに追加する候補
  • 決めた理由として多く出た言葉 → サービス紹介の見出しや説明文の候補
  • 比較された会社や方法 → 自社の違いを説明する必要がある点

数が限られた話なので、「多くのお客様が」と広げすぎず、アンケートやアクセス解析で確かめられる点は確かめます。集めた話をもとにお客様像を整理する方法は、ペルソナとカスタマージャーニーを一人で作る手順で紹介しています。より多くの人に同じ質問をしたい場合は、無料アンケートツール比較も参考にしてください。